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海都の目

あまり口数の多くない海都は、目で多くを語っている。
ガレージで広海と二人、社長を追悼するように語りあっているときの、海都の目。
もっとずっと早くに気がついてもよかったはずなのに、なんて美しい目をしているのだろう、と 強烈に印象づけられた最初が、この時の海都の瞳だった。

彼の目はさまざまな表情を見せる。

恋人・桜に注がれる、溢れるように優しい目。
この夏出会った人々に注がれる目もまた、相手の心の機微を映し出し、それを優しい同情が覆う。
浴衣がムダになってしまったときや、春樹の乗ったフェリーに向かって叫ぶ春子に注がれた目。また、美智恵さんの息子の出来事を知ったときの目。
主をなくしたダイヤモンドヘッドの看板を見上げる目。

夏が終わり、まだ迷っている広海の姿を、しばしば海都の目が追っている。言葉には出さない多くを語りながら。その目がしだいに険しい表情を帯びてくる。(おい、いつまで迷っているんだ!?)
海都の目は、“与える目”だと思った。

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- それぞれの夢 語りあった日々 おまえの目が 好きだった - 〈Forever〉