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Forever

二人がダイヤモンドヘッドを後にする前日、早朝の海を、広海が見つめている。ドアを開けてテラスに出てきた海都が、その後ろ姿に目を留める。

やがて広海はゆっくりと歩を踏み出し、Tシャツを脱ぎ捨て、海に向かう。
海に足を踏み入れた広海が泳ぎ始めるまで、この間は音がない。数回、鳥の声だけが響く。

意を決して、広海は泳ぐ。海都はほとんど身動きもせず見つめている。
しばらく泳いだ後、やがて広海はゆったりと手足を伸ばし、目を閉じて安らうように、仰向けに海に身を漂わせた。

怖かった海に、今はこうして抱かれている。
夏の最後の太陽が水面に照り返し、乱反射する光に、見つめる海都の表情がオーバーラップする。
背景の空の輝きと、夏の光に少し眩しそうな海都の目。
この夏のすべてがここに凝縮されているような、濃密な時。

ほんの短いあいだ、まったく違う時間が流れている。この場面では、ひとことの言葉も発せられない。
沈黙の内に、そしてこの時を見届けた海都の目の中に、言葉に封じこめることのできない多くが充溢している。何もかもが眩しく見えて、 短いながら永遠のような時間だった。

* * * * *

今を 忘れないさ