● 第一話 『夏、変なヤツがやってきた、同時に二人も』 (4) |
□ 民宿ダイヤモンドヘッド 前 | |
真琴が自転車に乗って学校へ出かける。 | |
真琴 | 「行って来ます!」 |
□ 民宿ダイヤモンドヘッド 中 | |
勝の作業部屋。モーターボートのエンジンのネジを締めている勝。そこへ広海と海都がやってくる。 | |
広海 | 「あー、終わった。後何すればいいですかね?」 |
勝 | 「何にもないよ、客もいないのに。」 |
広海 | 「あ、客いないんだったね。」 |
海都 | 「あ、いや、だからいます、あのここに」 |
勝 | 「金ねんだろ。」 |
海都 | 「あ、いや、あの、今・・・」 |
海都を無視して自分の部屋へ戻る勝。 | |
広海 | 「金ねんだろ。」 |
□ 真琴の高校 | |
国語の授業。先生が詩を朗読している。真琴は机にうつぶせになって寝ている。その真琴を見つめながら似顔絵を描いている祐介。と、教室の扉がそっと開く。広海が顔を出す。 | |
広海 | 「(小声で)すいませーん」 |
教室の中をきょろきょろ見渡す広海。朗読を続ける先生。 | |
広海 | 「まこちゃーん!」 |
朗読を辞める先生。 | |
広海 | 「何だあいつ寝てんの」?」 |
教室に入ってくる広海。手に弁当箱を持っている。 | |
先生 | 「あ、ちょっと、あ、あなた。」 |
広海 | 「あ、いやいや、ちょっと大事なモノなんですよ。」 |
真琴の席の前まで来る広海。寝ている真琴に向かって | |
広海 | 「コラ!しっかり勉強しろ!」 |
びっくりして席を立つ真琴。 | |
真琴 | 「はい!すみません・・・」 |
広海 | 「ほら、弁当忘れたよ。ほらほら!ふ!ふ!ふ!ふ!ふ!」 |
きょとんとした表情の真琴 | |
広海/TD> | 「残すなよ。な、ちゃんと食べんだよ。な。みんな、まこちゃんよろしくな、な、な、な!」 |
言いながら、教室を出ていく広海。広海を笑う生徒達。立ちつくす真琴。 | |
真琴 | [「ばっか〜。」 |
□ 真琴の高校 プール際 | |
教室を出た広海、ダイヤモンドヘッド2号(自転車)に乗ろうとすると、近くにプールを見つける。 | |
真琴、教室の窓から外を眺めると、プールに向かう広海を発見する。 | |
プールサイドを歩く広海。水を跳ね上げたり、飛び跳ねたりしている。飛び込み台に立つ広海。 | |
目をつむると、観客の歓声が聞こえてくる。と同時に飛び込みの姿勢になり、スタートを告げるピストルの音が響くと、美しいフォームでプールに飛び込む。 | |
驚いて席を立つ真琴。窓際まで歩いていく。教室の生徒達も広海を見守る。 | |
先生 | 「みんな席について、戻って。」 |
クロールで何度もターンして泳ぐ広海 | |
裕子 | 「すごーいはやーい」 |
やがてゴールする広海。教室の生徒達から歓声が上がる。プールのコースを見つめる広海。 | |
□ 民宿ダイヤモンドヘッド 居間 及び 桜の会社のオフィス | |
海都が電話している。 | |
海都 | 「あーもしもし、鈴木ですけど・・・あー桜?」 |
桜 | 「うん、え?(微笑んで)うん。わかったわかった。お金送る。でも、すごい名前だね、ダイヤモンドヘッドって。何でまた民宿なの?」 |
海都 | 「何となくね。」 |
桜 | 「ふーん・・・」 |
その時上司から呼ばれる桜。 | |
上司(声) | 「柴崎君」 |
桜 | 「(上司に)はい!(海都に)ちょっと待ってね。」 |
海都の電話越しに、二人の会話が聞こえる。 | |
上司 | 「明日の例のプロジェクトの件なんだけど。」 |
桜 | 「はい」 |
上司 | 「8時からになったから、急いでこの知らせ用意してくれるかな?」 |
桜 | 「何部ほど、用意すれば?」 |
上司 | 「30部。」 |
「解りました。30部ですね。」 | |
会社に鳴り響く電話の音。受話器越しに聞いているだけの海都。 |